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2021.05.25

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持病の癪

 TVドラマの時代劇での一場面です。峠越えの山道で、若い女性が急にお腹を押さえてしゃがみ込みます。人に様子を聞かれると、「持病の癪(しゃく)が……」と答えます。

 癪というのは、胸部や腹部に起こる激痛の通俗的な総称のことで、「さしこみ」とも言います。この症状は、医学的には疝痛(せんつう:コリック・ペインcolic pain)と言います。様々な原因で起こりますが、多いものは腸の炎症によるもので、そのほか胆石や尿管結石によるものがあり、稀には卵巣や子宮の疾患もあります。

 典型的な発作は、痛みが次第に強くなった後に、徐々に弱くなるという症状を繰り返すものです。これがはっきりしているのは腸の通過障害による痛みですので、時代劇の女性の多くは、腸炎による癪だったのではないかと考えられます。

 無理な体重管理や不規則な食事、バランスの良くない栄養は、腸に悪い影響を及ぼします。便秘の原因にもなりますから、無理な体重の減量は勧められません。昔も今も、食生活が大切なことには変わりがありません。自分に合ったペースを守りましょう。他の人がダイエットに成功したからといって、癪にさわることはないのです。

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