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2024.03.15

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谷風という病気

 歴史上、日本ではインフルエンザの流行が何度もありましたが、江戸時代にはこれがぴたりと止みました。その理由は明解で、幕府が鎖国をしたからです。

 しかし1712年には久しぶりに江戸で流行し、この時には第6代将軍徳川家宣が罹患して51歳で亡くなっています。

 さて1795年の暮れに大流行した際には、第4代横綱の谷風(1750-1796)が罹り、翌年の1月にこの世を去っています。谷風は慎重189cm、体重161kgと恵まれた体格でしたが、昇進はかなり遅く、横綱を許されたのはなんと40歳の時です。現在なら、すでに引退している時期になります。横綱になってからは63連勝という大記録を樹立していて、これは昭和の大横綱の双葉山が69連勝するまで、150年間も破られることはありませんでした。人々は、無双の力士が突然亡くなったことに大変驚きました。そしてこの時に流行したインフルエンザを「谷風」と名付けて恐れたのでした。

 インフルエンザウィルスは、いろいろな変異を起こすたびに流行しますので、完全に押さえつけることはできません。今後もウィルスと人類の戦いが続くことになります。

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