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2022.01.05

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霍乱(かくらん)

 普段、不健康とは全く縁がないような、極めて頑健な人が病気になることを「鬼の霍乱(かくらん)」と言います。さて、この霍乱とは、一体どういう意味なのでしょうか。

 霍乱は古くから存在する言葉で、平安時代の本にはすでにその名が記載されています。その病気の説明を読むと、症状は「下痢や嘔吐を繰り返す」とされています。これは現在の病気でいう「急性胃腸炎」にあたります。さらに発症時期については、「夏に起こるもの」と書かれていることから、かつての霍乱の原因は細菌性食中毒であったと考えられます。現在でも食中毒で亡くなる人はいますが、抗生物質のなかった時代には、かなり厄介な病気だったと考えられます。また感染疾患であることから、体の丈夫な人にでも突然発症することがあったため、「鬼の霍乱」となったのでしょう。

 ある本には、霍乱は「暑気あたりや日射病のこと」と書かれていますが、この認識は厳密に言えば誤りということになります。また細かく言えば、冬の寒い時期に罹った風邪に対して、「鬼の霍乱」という言葉を用いるのも間違いということになります。いつしか、誤用されるようになった言葉と言えます。

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