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2021.08.20

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ブルーからピンクへ

 心臓の先天奇形に「ファロー四徴」という有名な病気があります。体に十分な酸素が取り込めず、子供たちは胸を痛がり、しゃがみ込む姿勢をとることが多く、若くして亡くなってしまいます。顔色が青いため、ブルー病とも言われていました。

 アメリカの小児科女医トーシックは、目の前で亡くなっていく子供たちの治療法はないものかと、研究に没頭していました。そして肺動脈と大動脈の間に新しい連絡路を作れば、全身に酸素が豊富な血液を送ることができるのではないかと考え、外科医ブレイロクに相談しました。彼は犬を使った手術実験を繰り返し行なった後、1944年にファロー四徴の女児に手術を行いました。この画期的な手術は、見事に成功したのでした。

 1945年、この結果を学会で報告したトーシックとブレイロクは、聴衆からの感動の歓声に包まれました。世界で最初に手術を受けた女児の母親は、手術後の子供を見て泣きながら言いました。「奇跡のようです。他の子と同じピンクの頬をしたあの子を、私は初めて見ました」。

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