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2024.05.07

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クック船長とビタミンC

 壊血病(かいけつびょう)は、ビタミンCの欠乏によって生じる疾患です。歯茎が紫色になり、出血を伴う炎症が全身に広がります。膝が腫れて歩くことができなくなり、病気が進行すると高度な貧血を起こして死亡します。皮膚がヒビ割れて出血することから、こんな病名が付いています。

 ビタミンCはお茶の葉に多く含まれているので、日本人にこの病気はあまりみられませんでしたが、昔から長期間の航海に出る船乗りに多く発症していました。この「海の天罰」と恐れられた壊血病の予防に成功したのは、1768年にエンデバー号で南太平洋を探索したクック船長でした。

 クック船長は、病気の防止には野菜や果実(ミカン類)の摂取が有効であるとした軍医の報告を採用し、1770年に緑色野菜とライムジュースを船に持ち込み、航海に出ました。約1年の航海で壊血病による死者が出なかったのは、これが世界で最初であったと言われています。この成果により、英国海軍は全ての軍艦と商船へのライム果実の積み込みを義務付けたのでした。

 近年、日本では壊血病の子供が増加しています。ビタミンCは、接種し過ぎで病気になることはありません。美容のためだけに必要なビタミンではないのです。

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