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2022.05.16

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やぶ医者考

 薮(やぶ)とは、つる草や竹などが一面に生い茂っていて、踏み込めそうにない所のことを言います。昔から薮医者と言う言葉がありますが、どうして薮という言葉が使われるようになったのでしょうか。

 薮医者の「やぶ」の語源は、実は「野暮(やぼ)」から来た言葉で、場所の薮とは全く意味が違っています。野暮は「粋(いき)」の反対語で、本来は男遊びの事情に関して詳しくないことを指していう言葉で、世間の実情や人間関係について疎い人のことを言います。この意味が転じて用いられるようになったものですから、「あてにならない医者」というニュアンスになります。

 患者さんが言う薮医者は、良い意味では使われていませんが、実は本来の意味から考えると、「研究や仕事ばかりしているため、世間からは感覚がずれてしまう真面目な医者」という捉え方もできなくはありません。

 英語で藪医者のことは、quack(クウェック:にせ医者)とかcharlatan(シャーラタン:ペテン師)と言われますが、これらの言葉に比べると日本語の藪医者は悪者としてのイメージは少ないようです。これからは是非、「粋医者」と言う言葉も使われるようになってほしいものです。

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