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2025.11.04

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ヘボンのローマ字

 ジェームス・ヘプバーン(1815-1911)は、アメリカ生まれの眼科医です。ニューヨークで開業していましたが、医師の仕事とは別に宣教師としても伝道に情熱を注いでいました。1841年からはシンガポールで活動していましたが、1859年に日本に住まいを構えました。横浜の成仏寺に夫婦で住み込んだのですが、当然のことながら、当初は布教や医療活動は許されていませんでした。

 開国の声が聞こえ始めた1862年の暮れ、ヘプバーンは眼科の診療を開始し、優れた技能を発揮しました。大変評判のいい医師であったそうです。彼は仕事の傍ら、多くの時間を英和・和英辞典の編纂に費やしました。そしてついに1867年、ローマ字で綴った日本語に、漢字、カタカナ、英語を付けた辞書を刊行しました。この時ヘプバーンは、自らの日本語名を「平文(ヘブン)」と号していました。

 日本語のローマ字は、室町時代にポルトガル人が表したものが最初とされていますが、このヘボンの本を元に生まれたのが「ヘボン式ローマ字」です。シャ:sha、チ:chi、ジャ:jaなどがこれに当たります。

 ヘボンは、医療により日本人の眼を治しただけでなく、辞書により日本人の知識の眼も開いたと言われています。

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