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2026.02.16

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血管の縫合

 今から100年以上前の1912年。ノーベル賞を受賞したのはフランスの外科医カレル(1873-1944)でした。テーマは「血管縫合法と臓器移植に関する研究」でした。

 彼がリヨン大学を卒業して間もない頃、当時のカルノー大統領が暴漢に刺され、大量の出血で亡くなるという事件が起きました。カレルは、損傷した太い血管を縫合すれば大統領を助けることができたのではないかと考え、当時では不可能とされていた血管縫合に情熱を注いでいったのでした。

 そして1906年にアメリカの研究所に移り、ここで特殊な針や糸を開発していきました。またゴムや金属を使って、血管代用の試作作成も行いました。さらに血管の修復方法について、多くの動物実験を重ねていき、これを確立していったのです。1907年には、なんと犬の心臓移植にも成功しています。カレルは第一次世界大戦時にフランスに戻り、傷病兵の救護活動において活躍しました。

 その後、多くの医師が彼の血管縫合法を行いましたが、実は成功の確率は高くありませんでした。治療成績が向上するのには、1930年代になって登場する、抗生物質と血液を凝固しにくくする薬が必要だったのです。

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